40代で看護師として転職活動を始めると、思っていた以上に“見えない壁”を感じる場面があります。
私自身、夜勤や不規則な勤務に限界を感じ、「もう少し安定した働き方がしたい」と転職を決意しました。
でも、実際に求人を探してみると、20〜30代向けの募集が多く「年齢制限なし」と書かれていても、応募の時点で通らないことも。
今回は、私が実際に経験した“40代看護師の転職の壁”と、
その中で感じたこと、これからの働き方のヒントについてお話しします。
40代で「規則正しく働ける職場」を探していた
転職のきっかけは、体力と生活リズムの限界でした。
20代のころは他の業界で夜勤をしていて、少し仮眠を取れば体力もすぐに回復していました。
でも40代になった今、夜勤明けは疲れが抜けず、頭がぼんやりして家事もままならない。
さらに夜勤明けは食欲が爆発して、
ラーメンを食べたり、ドーナツをどか食いしたりしてしまう。
一瞬の満足と引き換えに、体重や健康面の不安が積み重なっていきました。
そんな生活を続けるうちに、「もっと体に無理のない働き方をしたい」と思うようになりました。
子どもとの時間を大切にしたい気持ちもあり、
夜勤なし・土日休み・規則正しい勤務ができる職場を探し始めたんです。
健診センターを狙ったけれど、年齢の壁にぶつかった
まず最初に考えたのは、健診センター勤務でした。
夜勤なし・日勤のみ・残業少なめという条件が揃い、
「子育てと両立しながら働くには理想的」と思っていました。
ところが、転職エージェントに相談したところ、
「健診センターは未経験からの転職だと40代はかなりハードルが高い」と言われました。
医療処置の少ない職場なので、若手よりも“スピード・正確さ・即戦力”が求められ、
新しい環境で一から覚える人を採用しにくいのだそうです。
求人票には年齢制限が書かれていなくても、
“実質的な年齢の壁”があると実感しました。
「これまで頑張ってきた経験を活かしたい」と思っても、
年齢だけで不利になる現実に、少し落ち込んだのを覚えています。
産業看護師の現実|求人の少なさと資格の壁
次に考えたのが産業看護師でした。
企業で社員の健康管理や衛生教育に携わる仕事で、
夜勤もなく、ワークライフバランスの取れた職種として人気です。
でも、実際に求人を探してみるとほとんどが「保健師資格必須」。
看護師だけでは応募できないケースが多いのが現実です。
タイミングよく、知人の紹介である企業が産業看護師を募集していると聞き、
履歴書を渡してもらったこともありました。
役員にツテがあったので期待していたのですが、返ってきた答えは、「保健師でないと難しい」というものでした。
努力や経験でどうにもならない“資格の壁”。
看護師資格を持っていても届かない領域があることを、このとき痛感しました。
それでも理想の転職先を諦めなかった理由
正直、この時点で少し心が折れかけていました。
「もう40代だし、希望の職場なんて無理なのかも」と思ったこともあります。
でも、転職エージェントの担当者に言われた一言が心に残っています。
「健診センターや企業だけが“安定”ではありません。
夜勤なしで長く働ける職場は、他にもたくさんありますよ。」
そう言われて一緒に色々悩んだ結果、紹介された1つが、手術室勤務でした。
想定外の選択肢でしたが、実際に転職してみると、
夜勤がなく(将来的にはする可能性ありですが)、休日も安定していて、生活リズムが大きく改善。
手術の準備や器具など、最初は慣れない業務も多かったですが、
チームで動く環境なので孤立することもなく、
「夜勤がないって、こんなに心も体も楽なんだ」と実感しています。
40代の転職で大切なのは「完璧を求めないこと」
40代での転職は、確かにハードルがあります。
でも、“理想を少し緩める”ことで見えてくる職場もあります。
「健診センターじゃないとダメ」
「企業で働きたい」
そう決めてしまうと、チャンスを狭めてしまうことも。
私は、手術室という“思いがけない場所”で、
夜勤なし・土日休み・家族との時間を大切にできる働き方を手に入れました。
転職は、どこに行くかよりも“どう進めるか”で結果が変わります。
条件を紙に書き出し、エージェントに正直に伝えること。
そして、求人票に載っていない「リアルな働き方」を質問すること。
それが、40代の転職を成功させる一番の近道だと思います。
おわりに
40代での転職活動は、若いころとは違う難しさがあります。
でも同時に、経験を積んだからこそ見える強みもあります。
面接でうまくいかなくても、それは「価値がない」わけではありません。
年齢を重ねた今だからこそできる看護があり、
求められる場所は必ずあります。
「年齢が壁になる」と感じたときこそ、
焦らず、自分の優先順位を見直してみてください。
転職は、逃げではなく“次のステージへの準備”。
40代からでも、自分らしく働ける道はきっと見つかるはずです!