おはようございます、たすほです。
昨日、朝日カルチャーセンターに長尾クリニック院長 長尾 和宏先生の講演会『よい在宅医の選び方 平穏死を考える』を聴きに行ってきました。
長尾先生を知ったのは、看護に関する本を読み漁っていた時に出会ったこの本がきっかけです。
目から鱗な内容が沢山あって、実際にお話を聞いてみたいと思い、足を運んできました。
長尾 和宏先生てどんな先生?
講座を受けた朝日カルチャーセンターの講師紹介によると、
1958年生まれ。84年東京医科大学卒業、大阪大学内科第2局に入局。95年尼崎市内で長尾クリニック開業。複数医師による年中無休の外来診療と24時間体制での在宅医療に従事。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。医学博士。日本尊厳死協会副理事長・関西支部長、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、関西学院大学非常勤講師、関西国際大学客員教授。著書に「町医者だから言いたい!1・2・3」「胃ろうという選択、しない選択」「新・私が決める尊厳死-不治かつ末期の具体的提案」「「平穏死」10の条件」「「平穏死」という親孝行」他多数。引用元: 朝日カルチャーセンター
ということです。
第一印象はエネルギッシュな方、お話を聞いてみると関西のイントネーションの混じった軽快なトークで『死』についてのお話なのに随所に笑いあり、講演の1時間半があっという間に過ぎてしまいました。
平穏死って聞いたことありますか?
平穏死は、特別養護老人ホームの医師、石飛幸三先生の著書から広がった言葉です。
長尾先生によると、
平穏死とは枯れて死ぬこと。枯れた方が苦痛が少なく、長生きできる。終末期の是正すべきではない脱水は、自然な省エネモード、だから苦しくない。平穏死でいいのは、最後までしゃべれる、食べられること。平穏死の反意語は、溺れて死ぬこと。以前は、亡くなる直前まで、大量の高カロリー輸液を投与して、胸水、腹水でパンパンだったがそれは病気でそうなったのだと思っていた。病気に対して最後まで、できる限りのことをして戦うべきだと思っていた。
確かに、私の祖母が亡くなった時も、そんな状態でした。点滴や人工呼吸器いくつもの管につながれ、全く別人のようにむくんでいました。
まさに先生のおっしゃったような『溺れ死に』の状態といえます。
お茶目で優しい大好きな祖母がそんな状態になってしまい、その時は小学生でしたが、子供心にとてもショックでした。
もう20年以上昔の話になります。
それでも、母は今でもあの時は最善と思ってしてきた決断をあれでよかったのかと思うことがあるそうです。
今後ますます高齢化社会が進んで行く中、看取りを経験する人も増えていくでしょう。母のような後悔を抱えることなく、穏やかな看取りが行われるよう手助けできるようになりたいと思っています。
平穏死ってどうやったらできるの?
平穏死を目指して在宅医療を始めたのに、結局病院で亡くなる方もいるそうです。
大切なのは、リビングウィルなどを書き、自分の意思をしっかり周囲に知らせておくこと。本人、家族、在宅医が同じ方向を向いていること。
そして、
救急車を呼ぶということがどういことかを理解しておくこと。救急隊員は心肺停止だったら心肺蘇生をしなくてはならない。リビングウィルに法的拘束力はないので、『救急車を呼ぶ=延命措置を希望』ということ。
看取ってくれるお医者さんとは?
長尾先生の考えるよい在宅医の選び方は、
・患者の話をよく聞く・チーム医療が上手 →在宅医療は在宅医だけで行われる訳でなく、ヘルパー、ケアマネ、訪問看護師など様々な職種が関わっており、個人プレーではない。・ACPをやってくれる・看取りに理解がある・死の壁を知っていて、家族にも説明してくれる
ACPはアドバンスケアプランニングのことを言います。
簡単にいうと、もしもの時の心づもりのことです。
また、死の壁は、最初に挙げた本にも書いてありましたが、亡くなる半日くらい前に暑い暑いともだえだすことがあるようです。ここで周囲の人がどう対応していくかが重要なので、医師の側にもその理解があることが大切だそうです。
最後には、
僕のこの『「平穏死」10の条件』を見せて、理解してくれる先生は良い先生だね(笑)
と、自分の本の紹介も忘れない、本当にお話上手の先生でした。
長尾先生は約50冊の本を書かれているそうですが、まだ数冊しか読めていないので、他の本も随時読んでみたいと思います。
訪問看護師になるには?
まだ、看護師の卵になる一歩も踏み出せていない状態で大変おこがましいと思いましたが、講演終了後、長尾先生に訪問看護師になるにはどうしたらいいかお尋ねしてみました。
私は看護師の国家試験を受けた後、3年くらいは最低でも病棟勤務を続ける必要があると思っていましたが、病棟勤務も多少は必要だけど、訪問看護師はまた違う考え方が必要なので、1年くらいしたら訪問看護師を目指してもいいと思うと言っていただきました。
また、どんな診療科を経験しておくといいかということについては、脳外科など外科的経験や救急の経験があるといいでしょうといことでした。
2025年問題などと言われるように今後ますますの高齢化社会が進む中で、在宅医療のニーズも高まっていくでしょう。
苦楽を共にした自宅で、家族に見守られながら最期を迎えたい。
そう思う方が多い一方で、思うような看取りができなかったケースもあるそうです。
看護師として何が必要で、何ができるのか、これからもっとよく考えていきたいと思います。
今日もご訪問ありがとうございました。