「仕事中は患者さんに笑顔で接しているのに、家に帰ると何もしたくない……」
体が疲れているだけじゃなくて、なんか気持ちが空っぽになる感じ。
そういう経験、看護師をしていると一度はあるのではないでしょうか。
この記事は、病棟と手術室で働いてきた私が、看護師の仕事における「感情労働」のしんどさと対応方法について書いたものです。
「感情労働」という言葉を知ることで、自分の疲れの正体が少し見えやすくなるかもしれません。
参考になれば嬉しいです。
看護師の仕事は「感情労働」でもある
「感情労働」とは、自分の感情をコントロールしながら相手に接することが仕事の一部となっている働き方のことです。
サービス業や医療・福祉の仕事に多く見られます。
看護師の仕事は、技術や知識が求められるのはもちろんですが、同時に患者さんの気持ちに寄り添い、不安を和らげ、場合によっては強い言葉を向けられても冷静に対応する、という感情面の働きかけが常に求められます。
体を動かすだけでなく、感情も「消費」しているのが看護師の仕事の特徴のひとつです。
これが、体の疲れとは別に「なんか気持ちが疲れている」という感覚につながっていることが多いです。
具体的にどんな場面で消耗するか

感情労働の消耗が起きやすい場面は、いくつかあります。
患者さんや家族の不安・怒りを受け止めるとき
不安からくる言葉のきつさ、理不尽なクレーム、泣いている患者さんへの対応。
「仕方ない」とわかっていても、毎日積み重なると気持ちが削られていきます。
自分の感情を抑えて笑顔を保つとき
本当はしんどい日でも、業務中は笑顔で明るく接することが求められます。
「プロだから当然」とは思いながらも、自分の気持ちを押し込める行為はエネルギーを使います。
終末期や看取りの場面
患者さんの死に立ち会うことは、看護師にとって特別な経験です。
何度経験しても慣れません。
悲しみを感じながらも次の業務に切り替えなければならない場面は、感情的な負荷がとても大きいです。
チームや医師との関係調整
患者さんだけでなく、医師やチームメンバーとの関係でも感情をコントロールする場面は多いです。
言いたいことを言えないまま我慢する場面も、じわじわと消耗につながります。
感情労働が続くとどうなるか
感情の消耗が続くと、最初は「なんか疲れているな」という感覚から始まって、だんだん患者さんへの気持ちが薄くなっていくことがあります。
「また始まった」「早く終わってほしい」と思うようになってくると、自分でも怖くなることがあります。
これはバーンアウト(燃え尽き症候群)の初期サインのひとつでもあります。
「気持ちが動かなくなってきた」と感じたら、それは休息が必要なサインだと思うようにしています。
患者さんへの気持ちが薄れてきたとき、それは冷たくなったのではなく、消耗しきっているサインです。
私が感じていたこと
病棟で働いていたとき、仕事から帰ると誰とも話したくない日がありました。
子どもに「おかえり」と声をかけてもらっても、うまく返せないことがあって、自分でも「なんでこんなに疲れているんだろう」と思っていました。
仕事の内容が嫌いなわけじゃないのに、気持ちが空っぽになる感覚。
体の疲れとはまた違う、何かが減っていく感じがずっとありました。
転職してから「感情労働」という言葉を知って、あのしんどさの正体がわかった気がしました。
手術室の仕事も感情を使わないわけではないですが、病棟時代とは消耗の種類と量が違います。
患者さんと関わる時間や状況が変わったことで、気持ちの疲れ方がかなり違うと感じています。
消耗しすぎる前にできること

感情労働の消耗は、なくすことはできませんが、意識することで少し楽になります。
「感情労働をしている」と認識する
「疲れているのは気合いが足りないから」ではなく、「感情も使う仕事をしているから消耗する」と捉え直すだけで、自分を責めなくなります。
仕事とプライベートの切り替えを意識する
帰り道で気持ちを切り替える習慣をつけることが助けになることがあります。
仕事中の感情を家まで引きずらないための、自分なりのルーティンを持つことが大切です。
感情を吐き出せる場所を持つ
信頼できる同僚に話す、日記に書く、誰かに聞いてもらう。
ため込まずに出す場所があるだけで、消耗のペースが変わります。
それでも続くなら、職場環境を見直す
個人の工夫でカバーできる範囲には限界があります。
感情労働の消耗が特にひどい環境、たとえばハラスメントが多い、サポート体制がない、という職場なら、環境を変えることも選択肢のひとつです。
転職について考え始めたときは、こちらの記事も読んでみてください。
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おわりに
看護師の疲れは、体の疲れだけではありません。
感情を使い続けることによる消耗も、確かにあります。
「なんか気持ちが疲れているな」と感じたとき、それはサボっているのでも弱いのでもなく、仕事の性質上しかたのないことです。
その疲れを認めながら、自分を大切にする働き方を選んでほしいと思います。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。