「患者さんのことが、前みたいに気にならなくなってきた気がする」
あるとき、そう感じてハッとしたことがあります。
嫌になったわけじゃない。
でも、何かが薄れていた。
仕事に向かう気持ちが、以前とは違っていました。
今思えば、あれがバーンアウトのサインだったんだと思います。
でもその当時は「疲れているだけ」「自分が弱いだけ」と思っていて、バーンアウトという言葉すら頭になかったです。
この記事は、病棟から手術室に転職した現役ナースの私が、自分のバーンアウト経験をもとに書いています。
「これって私だけ?」と思っている方に読んでもらえたら嬉しいです。
バーンアウト(燃え尽き症候群)ってどんな状態?
バーンアウトとは、それまで意欲的に仕事に取り組んでいた人が、まるで燃え尽きたように気力を失ってしまう状態のことです。
医療・福祉・教育など、人と深く関わる仕事に多く見られます。
主な症状は3つに分けて説明されることが多いです。
- 情緒的消耗感:心が疲れ切って、感情が薄れてくる
- 脱人格化:患者さんや同僚への気持ちがドライになる、冷たくなる
- 個人的達成感の低下:「自分は仕事ができていない」という感覚が続く
「燃え尽き」という言葉のイメージから、ある日突然倒れるように動けなくなるイメージを持つ方もいますが、実際はじわじわと進んでいくことが多いです。
気づいたときには相当消耗していた、ということが少なくありません。
私が感じていたサイン

当時の自分を振り返ると、こんなことが重なっていました。
休みの日でも仕事のことが頭から離れない。でも仕事中は感情がフラットで、「早く終わらないかな」とだけ思っている。
患者さんのナースコールに、以前ほどすぐ動けなくなってきた。
新しい看護技術の勉強をしようという気が起きない。同僚と話していても、なんとなく上の空。
ひとつひとつは「よくあること」で片付けられそうな話です。でも全部が重なっていた時期があって、今思えばそれがバーンアウトだったんだと思います。
当時は「看護師なんてみんなこんなもの」「私が弱いだけ」と思っていました。
でも、しんどい状態を「普通」だと思い込んでいること自体が、バーンアウトのサインのひとつだと知ったのは、だいぶ後になってからでした。
なぜ看護師はバーンアウトしやすいのか
看護師という仕事は、構造的にバーンアウトが起きやすい環境にあると思っています。
まず、感情労働の負担が大きいです。患者さんの痛みや不安を受け止めながら、自分の感情をコントロールして関わり続ける。それ
を毎日、複数の患者さんに対してやる。これは思っている以上に消耗します。
次に、慢性的な人手不足と業務過多。
「忙しいのは当たり前」という文化の中で、休憩を削ることも前残業も日常になっていきます。
自分の限界がどこにあるかわからなくなっていく。
そして、夜勤による生活リズムの乱れ。睡眠の質が下がると、気力・判断力・感情の安定がすべて低下します。
子育て中であれば、夜勤明けで子どもの対応をしなければならない日もあって、休めているのかどうかもわからない状態が続くことがあります。
「看護師はタフでなければいけない」という空気が、しんどさを言い出しにくくさせていることも、回復を遅らせる要因のひとつだと思っています。
転職してから気づいたこと

手術室に転職して、夜勤がなくなり、前残業もなくなり、定時に上がれる日が増えました。
その変化の中で、じわじわと気力が戻ってきた感覚があります。
患者さんとの関わり方は病棟と手術室では全然違いますが、「今日も仕事行ってよかった」と思える日がまた来るようになりました。
病棟時代にはなかった感覚です。
転職がすべての解決策だとは思っていません。
でも、バーンアウトの原因が「今の職場の環境」にあるなら、環境を変えることは立派な対処法のひとつです。
休むことも大事ですが、休んでも戻る環境が変わっていなければ、また同じことになります。
バーンアウトに気づいたら、まず何をするか
もし「自分がバーンアウトかもしれない」と感じたら、まず今の自分の状態を正直に認めることが大事だと思います。
「弱い」のではなく、「限界まで頑張ってきた」ということです。
そのうえで、できることから考えてみてください。
- 休める環境があれば休む:有給や病休を使うことは権利です
- 話せる人に話す:同僚・家族・産業カウンセラーなど、抱え込まないことが大切
- 職場環境を見直す:今の職場が合っていないなら、転職を選択肢に入れる
転職を考えている方は、まず転職エージェントに話を聞いてみることをおすすめします。
今すぐ転職しなくてもいいです。
「自分に合う職場がどんなものか」を知るだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。
▶ 転職は怖い…でも転職活動はノーリスク!|40代看護師が一歩踏み出せた理由
おわりに
バーンアウトは、真剣に仕事に向き合ってきた人がなるものだと思っています。
「弱いから燃え尽きた」のではなく、「それだけ一生懸命だったから消耗した」ということです。
今しんどい方が、少しでも自分を責めるのをやめて、環境を変える選択肢を考えてみてくれたら嬉しいです。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。