「スカイマークのCAさんの名札がイニシャル表示になるって聞いて、看護師も同じだなと思いました」
2026年6月から、スカイマークの客室乗務員の名札が「苗字」か「イニシャル」かを選べる方式になるというニュースがありました。
カスタマーハラスメント対策と、SNSによる意図しない個人特定を防ぐためとのこと。
それを読んで、「これ、看護師もずっと同じ問題があるよな」と感じました。
この記事は、病棟と手術室で働いてきた現役ナースとして、名札と個人情報の問題について感じていることを書いたものです。
病院でも、名札のフルネーム廃止が広がっている

調べてみると、すでに複数の医療機関で名札の表記変更が行われていました。
京都大原記念病院グループは、職員を名指しして人格を否定する言動や、SNSへの投稿による被害が増えたことを理由に、名札をフルネームから苗字のみに変更しています。
「職員の安全を守る義務がある」という表明と合わせて発表された変更です。
国保中央病院も令和6年10月から同様の変更を実施していますし、御所南リハビリテーションクリニックも同じ対応をとっています。
病院やクリニックがこういった動きを取り始めているのは、CAの名札変更と根っこは同じ問題だと思います。
接客・対人サービスの現場で、個人名が特定されることのリスクが、以前より格段に高くなっているということです。
フルネームが「危ない」と感じる理由
看護師の名前がフルネームでわかると、何が起きるのか。
SNSで名前と職場名を組み合わせて検索すれば、個人を特定できてしまうことがあります。
フルネームがわかれば、住所や家族情報まで辿られてしまうケースもゼロではありません。
悪意のある患者や家族が「あの看護師は◯◯さんだ」と特定して、ネットに書き込んだり、職場外で待ち伏せするといった事例が実際に起きています。
看護師は患者さんと関わる時間が長く、名前を覚えられやすい職種です。
「いつも丁寧にケアしてくれてありがとう」という感謝の気持ちからだったとしても、その名前がSNSに投稿されることで本人が望まない形で広がってしまうこともあります。
これは看護師に限った話ではないとも思っています。
Facebookが流行っていた頃、私は別の仕事をしていたことがあるのですが、そのときにお客さんから友達申請が来て困ったことがありました。
名前がわかって、プロフィールから特定されて、仕事の外で連絡を取ろうとされる。悪意があったわけではないとは思いますが、正直すごく嫌でした。
看護師の場合、患者さんと直接関わる時間が長い分、同じようなことが起きやすい環境だと思っています。
名前を知られること自体は悪いことではないのですが、SNSが当たり前になった時代に、フルネームをオープンにしておくリスクは以前とは全然違うと思っています。
私が働く病院も、苗字だけになっています

今の職場では、名札は苗字だけの表示になっています。
いつからそうなったのかは知らないのですが、転職時から苗字だけになっていました。
患者さんも実際に呼ぶのは苗字だけですし、信頼関係を築くのに名前のフルネームが必要かというと、そうでもないなと感じています。
むしろ、苗字だけにしてから「自分の個人情報がどこかに出回るかも」という漠然とした不安が少し減った感覚があります。
大げさかもしれませんが、毎日患者さんの前でフルネームを出し続けることへの緊張感みたいなものが、以前は少しあったんだと思います。
ペイシェントハラスメントは、看護師にとってリアルな問題
患者さんや家族からの暴言・暴力・過剰なクレームは「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」と呼ばれ、医療現場では深刻な問題になっています。
日本看護協会もハラスメント対策を重要課題として取り上げており、厚生労働省も対策指針の整備を進めています。
名前の特定はその入り口になることがあります。
「あの看護師の態度が悪かった、フルネームを教えろ」と言われた経験がある方もいると思います。
名前がわかることで、クレームや嫌がらせが個人に向かいやすくなるのは事実です。
名札の表記ひとつにも、「職員を守ろうとしているかどうか」という職場の姿勢が表れていると思っています。
転職先を選ぶときに、スタッフを守る体制があるかも見てほしい
転職先を探すとき、給料や勤務条件に目が向きがちです。
でも「職員を守ろうとしているか」という視点も、長く働ける職場かどうかに関わってくると思っています。
名札の表記、ハラスメント対応の方針、患者トラブル時のサポート体制。
こういった部分は求人票には出てきにくいので、転職エージェントに相談するときに「職員への対応はどうか」を聞いてみることをおすすめします。
転職エージェントは職場の内情をある程度把握しているので、表に出にくい情報を教えてもらえることがあります。
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おわりに
CAの名札変更のニュースは、看護師にとっても他人事ではないと感じました。
個人を守るための変化が、少しずつ広がっていることは前向きに受け止めています。
名前の問題だけでなく、スタッフを守る体制があるかどうかは、職場選びで大切な視点のひとつだと思います。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。